ロンドンの熱い夜

エリザベスが働く学校に、ロンドンの最高級レストランのオーナーシェフ、アンガス・マカリスターがやってきた。
慈善活動の一環として、生徒に料理の指導をするのだという。
自信に満ちたハンサムな彼に一瞬にして惹かれたが、過去に恋愛で傷ついた彼女は、必死に想いを隠す。
そんな苦悩を知ってか知らずか、アンガスは執拗に誘ってきた。
毎週のように異なる女性とのゴシップが報じられる彼のことだから、どうせ私を料理の一材料ぐらいにしか考えていないんだわ。
再び傷つくことを恐れ、断り続けるエリザベスだったが、“必ずイエスと言わせる”と宣言され、自分を守る自信を失った。
亡くなった祖母から家を遺され、タラは憂鬱な気持ちになった。
その家のあるウィスキー・リバーは、タラに忌まわしい過去を思い出させる土地だ。
そこで行われるはずだった結婚式に婚約者が現れなかったのだ。
罪悪感を覚えつつも売りに出そうと祖母の家を訪れたとき、管理を任されたという男性、ギャヴィンに出会う。
落雷の衝撃で倒れたところを助けられ、タラは心ひそかに胸を高鳴らせた。
だがあるとき、町で彼に関する噂を耳にして戸惑った――ギャヴィンは過去に殺人罪で服役していたというのだ!パーディタはうんざりした顔でホールを見まわした。
いくら私がダンスが好きでも、こういう社交界のパーティに参加し、退屈な男性の相手ばかりしているのはごめんだわ。
しかし、そのときうしろから聞こえてきた男性の皮肉な声に、そんな思いも忘れてパーディタは憤然とした。
「小娘を押しつけようとする、おせっかいな婦人ばかりだな」次の瞬間、パーディタは一歩下がり、男性の足を思いきり踏みつけた。
「ごめんなさい」作り笑顔で言う女性に、アダムは息をのんだ。
つぶらな瞳に、滑らかで白い肌。
こんな愛らしい娘は見たことがない。
だが明らかにわざと足を踏んだ彼女に、今度は僕が恥をかかせてやる。
グレイソープ子爵が楽しげに笑うことなど、かつてなかった。
だから、アニス・ミルバンクはきわめて希有な存在だった。
率直で世話好きな性格から、訪問先の屋敷の厄介ごとに首を突っ込み、ずっと昔からの友達のように、子犬を抱き居間でくつろいでいる。
目下、彼女の関心事は子爵を“殺さないように”狙撃した人物は誰か、だ。
美しく聡明なアニスに感化され、グレイソープ子爵の皮肉屋の仮面は外れかけていた。
彼女こそ、この陰鬱な屋敷の亡霊を追い払ってくれる救いの女神かもしれない……。
夜の公園で、ダイアンゼは自分と瓜二つの血まみれの女性に遭遇した。
「次に狙われるのは……あなたよ……“彼”を止めて」不可解なことばを残し、女性は息絶えた。
女性は高級娼婦と判明、状況証拠からダイアンゼに殺人の嫌疑がかかる。
濡れ衣よ! このままでは家族の将来もめちゃめちゃになってしまう。
幸い、賭博場に入り浸る退廃的な紳士、ジェフリー・モーガン卿がダイアンゼの身を案じ、隠れ家を提供してくれた。
だが、じっとしてなどいられない。
“彼”とはいったい誰? なぜ私が狙われるの? 自力で真犯人を捜すべく、ダイアンゼは知恵を絞った。
そして完璧な娼婦になりすまし、虚飾に満ちた夜の世界へ忍び込んだ。
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